
ミスコン審査員という特別な体験
事前の期待と、実際に感じたプレッシャー
自分らしさと競争の両立をテーマに考えました。わたしはずっと多様性を発信したいと考えてきました。多様な個性をどう順位づけするのか、順位づけされるとなると、自分らしくいられないのではないかと不安でした。
実際には、娘のような年齢の可愛らしい女の子たちの頑張る姿を見るのは嬉しいものでした。ファイナリストとして選ばれた彼女たちは、知性も外見も素晴らしく、見る価値があるものでした。
それぞれが自分らしさを発揮していて、それぞれが輝いていました。
評価する立場の難しさと責任
事前に基準として提示されていた条件をもとに、直感で判断しました。
ただ、わたしは、どちらかというと表現力よりその中身を考えてしまう癖があるので、スピーチの内容に説得力を求めてしまったり、ドレスのデザインから考えた女の子の意図を考えてしまったりしました。そういった意味では、評価者として未熟な部分がありました。
評価者であったとしても、他者の声を、距離を置いて、ただの声として受け止める能力は必要です。ファイナリストの方々にとっての訓練の一つと理解して、応援しました。
「外見」の再定義
顔やスタイルだけではない「見た目」の印象
外見の重要性について、再認識しました。
外見というのは、顔や身体の形だけではなく、自分の顔や身体、雰囲気に合ったドレス選び、客席から見た時を意識した身体の角度、動きの緩急、表情、声のトーン、そういったもの全てです。
皆様は、自分の姿が周りからどう見えるか意識しますか?状況によっては、これを十分に理解する事が必要なんです。でも、自分らしく!要求が難しいですね。これが、わたしが今回考えた課題です。
ドレス、表情、声。全てが外見を形作る。
わたしの言語力が不十分で言葉にするのは難しいのですが、「女神のような」方、「妖精のような」方、「ダンサーのような」方、「モデルのような」方など、皆違いました。そして、皆美しかった。今回評価されたのは、女の子自身が自分の雰囲気や魅力をどこまで理解し、表現できるかというところだと思います。学校ではなかなか学べない、でも大切な素養です。
内面と外見、どちらも等しく大切に
これまで重視してきた「言葉」と「経験」
わたし自身、勉強をしてきましたし、新しい環境や価値観に触れる機会を意識して増やしています。本を読んだり、こうやって気持ちを文章にする方法を考えてきました。子供たちも未就学時は公文、小学校一年生の時から中学受験塾に通わせています。自然体験や職業体験、国際交流の機会をできるだけ作り、読書感想文やアートで自分を表現する事を学ばせてきました。
勉強や体験活動、感情の表現の重要性は強く認識してきました。今回さらに、外見を意識することの大切さに気づきました。
そこに加わった新たな視点──外見への意識
人生において、勉強や文章力、アート、スポーツなど、様々な要素で評価されることがあります。私たちは、その評価に向かって努力をします。要素の一つとして、外見についての評価や頑張りも大切だと感じました。
外見というのは、これまでも書いてきた通り、生まれ持った顔かたちだけではありません。雰囲気を作り出し、それを表現する身体的な表現力を身につけることです。
ファイナリストの方々は、ステージという日常とは別世界の表現力が高くありました。言葉にすると、止まっている時はゆっくり、動いている時はスムーズに、ということだと思うのですが、ステージ越しに見ると、これが出来る方はとても目立ちました。メリハリがあり、表情も合わせて、舞台としての作り方を知りました。
一番悩んだのは、スピーチ対決
甲乙つけがたいメッセージの数々
短い時間の中で、それぞれの方が練りに練った言葉を発してくれました。イベント等で接してきて、ファイナリストの方々の言語力の高さに驚かされました。スピーチを通して、また、先日行った討論を通じても感じましたが、思った事を日本語で表現する技術が高いです。「やばい」「すごい」といった単純な感情を「結局いじめになって苦しい気持ちになった」「挑戦しようと頑張るきっかけになった」といった具体的な表現にして、聞き手の想像力を掻き立てる能力を見ました。
思った事を言葉にする能力は、最も基本的で、生きていく上で最も大切な能力なんじゃないかと、子育てする上で感じています。
ファイナリストの方々全員この部分は長けていて、今後どんな社会に行っても活躍できそうだなと思いました。
最後に
今回、ミスコンの審査員という立場から、多くの「努力のかたち」を見せてもらいました。
一人ひとりの言葉の選び方、表情の作り方、立ち姿、声のトーン、そして自分に似合う衣装の選択。それらすべてが、自分自身をどう表現するかという“覚悟”のように感じられました。
これまで私は、言葉で伝える力や内面の成長を重視してきましたが、今回改めて、外見を整えるという努力もまた、自分を大切にする行為であり、相手への敬意でもあると気づきました。
「外見を気にするなんて浅い」と思われることもあるかもしれません。でも、見られることを意識して自分を整えるというのは、自分自身を信じること、そして社会と対話するための大切な力です。
次の世代を見ていて感じるのは、「らしさ」を大切にする姿勢です。型にはまるのではなく、自分の魅力をどう整え、どう輝かせていくか。そこに、これからの時代の“美しさ”があるのだと思います。
外見を磨くことも、学びや感性を深めることと同じように、時間と工夫と愛情が必要です。
そして、その積み重ねが「あなたらしさ」をかたちにしていきます。
自分を信じ、自分を表現しながら、これからも自分らしさを育てていく。
若い人たちが、自分の魅力を信じ、内面も外見も磨きながら未来を切り拓いていく。その姿をこれからも応援していきたいと思います。