
節分の日は、大豆を買いました。鬼が来た時に撒くためです。
鬼がいつ来るのか、子供たちはドキドキしながら考えていました。
夕食の時もお風呂に入る時も、豆を傍らに備えていました。
お風呂に豆を持って入るとふやけてしまいそうなものですが、今どきの豆は丈夫で、原型をとどめていました。
母は鬼が来た時にすぐ知らせる係を任命されました。
夕食中もお風呂中も、豆の隣に座らされて、周囲を監視する役割を担いました。
寝るときは、窓際に豆を置き、その隣に母が寝て、子供たちは部屋の中心でくっついて寝ていました。
夜鬼が来たら、すぐに豆を撒いて退治する目的です。
無事朝まで鬼に襲われることはありませんでした。
翌朝登校、登園時に道端で豆を見かけると、ここに鬼が出たのだな、と納得していました。
サムネイルは窓際の備えられた豆です。
久野賀子