手のひらボトックスとは?
手掌多汗症の症状と悩み
手に汗をたくさんかいてしまう方がいらっしゃいます。
握手をする時に困ったり、ペンが滑ってしまったり、紙が濡れてしまったりしてしまうといったお悩みがあります。
手に汗をいっぱいかくような症状を「手掌多汗症」といって、ボトックスで治療することができます。
ボトックスの効果の仕組み
ボトックスはエクリン線という汗の腺に作用し、「汗を出せ」という信号をブロックすることで汗を抑えます。
この効果はアセチルコリンという上記の信号を伝える物質の量を減らすことで起こります。
効果は一時的で、3か月から4か月経つと、アセチルコリンの量が増えてもとに戻ります。
手のひらにおけるボトックスの適応
当院では、自由診療のみを行っています。
お客様が手のひらの汗で困っているのであれば、注入は可能です。
手のひらボトックスの治療方法
ボトックス注射の施術プロセス
手のひらのボトックスは痛いです。
ただ、麻酔クリームを塗布しても、すぐに汗で落ちてしまうこともあります。
しっかり冷却し、笑気麻酔やブロック麻酔を併用して行います。
施術自体は、細い針で細かく浅く注入するだけです。
治療にかかる時間と頻度
手のひら全体に、5mmから1㎝間隔でボトックスを注入します。
痛みの具合によって休憩をはさむケースもあります。
5分から10分程度かかると思っていてください。
3か月から4か月に1回の頻度で施術します。
治療法
世の中に存在する手掌多汗症の治療方法は、以下の7通りあります。
1. ライフスタイルの改善
ストレスや緊張が汗を引き起こすことがあるため、リラクゼーション法(深呼吸、ヨガ、瞑想)を取り入れることが効果的です。
カフェインや香辛料など、発汗を刺激する食べ物や飲み物を控えることが推奨されます。
2. 外用薬
塩化アルミニウム溶液(制汗剤)
手掌多汗症の軽症〜中等症に効果的です。患部に塗布することで汗腺の働きを抑えます。
使用方法: 夜に塗布し、朝に洗い流します。
副作用: かゆみや刺激感が出ることがあります。
3. 内服薬
抗コリン薬
汗を抑える作用がありますが、全身性の効果があるため口の渇きや便秘、眠気などの副作用が出ることがあります。
主な薬: プロパンテリンやオキシブチニン
4. イオントフォレーシス
微弱な電流を手に通すことで汗腺の活動を抑える治療法です。
使用頻度: 初期は週2〜3回、その後は維持のために月1〜2回。
効果: 中等症〜重症例で効果が期待できます。
5. ボツリヌス毒素注射(ボトックス注射)
汗腺の神経伝達を一時的に遮断し、発汗を抑えます。
効果持続期間: 約6か月。
痛みを伴うことがありますが、局所麻酔で軽減可能。
6. 手術(交感神経遮断術)
重度の手掌多汗症に対して行われる治療法です。
胸部交感神経を切断または遮断することで、手の発汗を永久的に減少させます。
効果: 高い効果が期待できますが、代償性発汗(他の部位での発汗増加)が副作用として現れることがあります。
7. 心理療法
多汗症がストレスや不安に関連する場合、カウンセリングや認知行動療法が有効です。
このうち、当院で行っているのは5番目のボトックス注射です。
手のひらボトックスの効果と持続時間
効果が出るまでの期間
3日から1週間後から効果が出ます。
効果の持続時間と個人差
3か月から4か月間効果が続きます。
個人差はあり、半年程度効果が持続する方もいます。
久野賀子